福岡地方裁判所 昭和46年(ワ)1308号 判決 1975年1月29日
主文
一、被告は、原告工業再配置・産炭地域振興公団に対し金七三七万三、八八一円と内金六二六万五、六四八円に対する昭和四一年一一月二六日から完済まで日歩四銭の割合による金員を、原告株式会社協和銀行に対し金一五二万九、〇二〇円とこれに対する昭和四一年一一月二六日から完済まで日歩四銭の割合による金員を各支払え。
二、原告等のその余の請求をいずれも棄却する。
三、訴訟費用は各原告に生じたものの一〇分の九を被告の負担とし、その余は各自の負担とする。
四、この判決の第一項は原告等勝訴の部分にかぎり、仮に執行することができる。
ただし被告において、原告工業再配置・産炭地域振興公団に対する関係では金二〇〇万円、原告株式会社協和銀行に対する関係では金四〇万円の各担保を立てるときは、当該原告の右仮執行を免れることができる。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告は、原告工業再配置・産炭地域振興公団に対し金八一四万一、七五四円、原告株式会社協和銀行に対し金一五二万九、〇二〇円および右各金員に対する昭和三九年八月二五日から支払ずみまで日歩四銭の各割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 仮執行宣言
二 請求の趣旨に対する答弁
1 原告等の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告等の負担とする。
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 原告工業再配置・産炭地域振興公団(以下原告公団という。)と原告株式会社協和銀行(以下原告銀行という。)との代理業務契約。
原告公団(当時の名称は産炭地域振興事業団)は昭和三七年一二月二一日原告銀行との間で、原告公団が産炭地域振興事業団法に基いて行う資金の貸付、貸付金の管理回収その他について「代理業務契約」と称する契約を締結し、原告公団は貸付業務を原告銀行に委託し、同時に、原告銀行は、その代理して行う貸付金の二割について保証責任を負い、代理業務にかかる貸付金の最終期限の到来時(期限の利益喪失による履行期到来の場合はその到来時)に主債務者が元利金の弁済を怠つた時は、原告銀行において「元利金残額」の二割相当額を限度としてこれを原告公団に代位弁済をすることを定めた。
2 原告銀行の代理貸付と被告の連帯保証
(一) 原告銀行(八幡支店所管)は、右代理業務契約に基き、原告公団を代理して昭和三八年三月二二日、訴外九州モウルド工業株式会社(同四二年二月一日商号を鞍手モウルド株式会社と変更した。以下訴外会社という。)に対し、金一、五〇〇万円を次の約束で貸渡した。
(1) 利率 年六分五厘。
(2) 利息支払方法 同年四月末日を第一回とし、以後毎月末日に、一年を三六五日の日割計算によつて算出した金額を支払うこと。
(3) 元本の償還最終期限 昭和四三年五月末日。
(4) 元本の償還方法 昭和三八年六月末日を第一回とし、以後毎月末日金二五万円ずつに分割償還し、右償還最終期限に完済すること。
(5) 損害金 日歩四銭。
(6) 特約 主債務者が右元金の償還ならびに利息の支払を一回でも怠つたときは、債権者の通告により残額を一時に請求することができる。
(二) 被告は原告公団に対し同日主債務者たる訴外会社と連帯して右債務の保証をした。
3 求償債務に対する被告の連帯保証(求償債権の保証契約)
また、訴外会社は、前同日、原告銀行との間で、原告銀行が前記1の代理業務契約により原告公団に対し、右2の債務を将来代位弁済をした場合は、その求償債務に対し、その時から日歩四銭の割合による遅延損害金(以下、損害金という)を附して支払うことを約し、被告はこれについても同日原告銀行に対し、訴外会社と連帯して保証することを約定した。
4 求償債権の発生および債権の特定
(一) 訴外会社の債務不履行
訴外会社は、右2(一)の借入金に対し、昭和三八年八月までの割賦弁済は了えたが(三回の元本分割償還金七五万円)同年九月分以降の元利償還金の支払をしなかつたので、原告銀行は、前記特約に基いて原告公団のために同年一二月一〇日到達の書面で訴外会社に対し通告をしたから、同日貸金残額金一、四二五万円について履行期が到来した。
(二) 担保処分による弁済充当
而して原告公団において昭和三九年四月二三日担保処分による金二八五万円(原告第二準備書面第一表は誤記)を元本債権充当の結果、訴外会社に対する本件貸金元本債権は金一、一四〇万円に減じ、同三九年八月二〇日現在における右貸付金の元利債権は左記のとおりとなつた。
(1) 元金 金一、一四〇万円
(2) 利息・損害金 金 一三八万〇、四九〇円
(三) 原告銀行の代位弁済
これに対し、原告銀行は右同日前記代理業務契約に基き原告公団に対して左記のとおり代位弁済し、同額の求償債権を有するに至つた。
(1) 元金 金 二二八万円
(2) 利息・損害金 金一五万一、四九七円
(四) 訴外会社の会社更生手続と原告等の参加
福岡地方裁判所において昭和三九年七月一六日訴外会社に対する会社更生手続開始決定があり、原告等は同年八月二五日更生会社たる訴外会社に対する左記債権を更生担保権として(原告公団は同年九月三日予備的に更生債権としても)届出た。(届出の内訳は別紙届出債権表Ⅰ、Ⅱのとおりである)。
(1) 原告公団 (計金一、一三〇万四、四八五円)
(イ) 本件貸金債権の残元本 金九一二万円
(ロ) 右に対する昭和三九年七月一五日までの利息・損害金 金一九二万七、四七一円
(ハ) 同右(ロ)以後昭和三九年八月二四日までの利息・損害金 金 二五万七、〇一四円
(2) 原告銀行 (計金八二一万五、二七九円)
(イ) 本件求償債権元本(前記4(三)(1)、(2)) 金二四三万一、四九七円
(ロ) 本件外の別口手形貸付金債権五〇〇万円の残元本 金四八九万五、四〇四円
(ハ) 右(ロ)に対する利息 金八八万八、三七八円
(五) 更生債権、更生担保権の確定および債権者表への記載
原告等が更生担保権として届出た前記5の債権は昭和三九年九月二五日の債権調査期日および(六)(2)の和解を経て次のとおり確定し、この確定した更生債権および更生担保権は更生債権者表および更生担保権者表に記載された。
(1) 原告公団 (計金一、一三〇万四、四八五円)
(イ) 更生担保権(本件元本の一部) 金三二七万八、六二三円
(ロ) 更生債権(本件元本の残部) 金五八四万一、三七七円
(ハ) 同 (利息・損害金。(四)(1)(ロ)に同じ。) 金一九二万七、四七一円
(ニ) 同 (利息・損害金。(四)(1)(ハ)に同じ。) 金 二五万七、〇一四円(劣後債権)
右(イ)ないし(ニ)は、主位的に更生担保権、予備的に更生債権として届出たものであるが、昭和三九年九月二五日の債権等調査期日において、管財人から、更生担保権届出のうち右(ロ)ないし(ニ)について異議、更生債権届出のうち右(イ)について異議が述べられ、右(イ)ないし(ニ)のとおり確定したものである。ちなみに、異議の理由は、(ロ)、(ハ)、(ニ)が担保権の目的の価額を越えるので、更生債権として届出るべきものであり、(イ)は更生担保権として認められるから更生債権として届出たのは失当であるという趣旨のものであつた。
(2) 原告銀行 (計金八二一万五、二七九円)
(イ) 更生担保権((四)(2)(イ)、(ロ)の一部。確定分) 金一〇二万四、五九六円
(ロ) 更生担保権(元本。(四)(2)(イ)(ロ)の残部。異議撤回分) 金六三〇万二、三〇五円
(ハ) 同 (利息等。(四)(2)(ハ)に同じ。異議撤回分) 金 八八万八、三七八円
右(ロ)(ハ)合計七一九万〇、六八三円に対しては、担保権の目的の価格を越えるから一般更生債権となるとの理由で管財人の異議があり、これにつき更生担保権確定訴訟を原告銀行が提起し、和解により、右異議分の六割相当額を一般更生債権と同じ権利の変更ならびに弁済方法で処理し、異議は撤回することで確定をみたものである。
(六) 更生計画認可決定および訴外会社の一部弁済
更生計画案の認可決定(昭和四一年一一月一九日決定、同年一二月二〇日確定)により、原告等の権利は更生計画の定めに従い次のとおり変更され、弁済を受けた。
(1) 原告公団
前記(五)(1)(ロ)、(ハ)、(ニ)の更生債権合計八〇二万五、八六二円のうち金六八六万〇、五三四円(前記(五)(1)(ニ)全額を含む)を免除し、残額金一一六万五、三二八円認可決定日から六〇日後にその支払を受け、前記(五)(1)(イ)の更生担保権金三二七万八、六二三円に対しては別紙弁済計画表Aのとおり分割弁済することが定められ、うち第七回まで計金一九九万七、四〇三円の支払を受け金一二八万一、二二〇円の債権が残存する。
(2) 原告銀行
原告銀行と更生会社管財人との間の更生担保権確定訴訟において和解の結果、更生計画において管財人は更生担保権として届出られた金八二一万五、二七九円全額を認め、内金三六六万七、二四八円は免除され、内金六四万七、一六二円は更生計画認可決定の日から六〇日後にその支払を受け、残額金三九〇万八、六九〇円については別紙弁済計画表Bのとおり分割弁済することが定められ、うち第七回まで計金二四〇万二、〇三〇円の支払を受け、金一四九万八、八三九円の債権が残存する。
(3) なお、本件更生手続は昭和四五年三月二〇日終結した。
5 要約
よつて被告に対し、
(一) 原告公団は、前記2(二)の連帯保証契約により、前記4(六)(1)記載の弁済計画表Aの残額(更生担保権分)金一二八万一、二二〇円と、免除額金六八六万〇、五三四円(更生債権分)とを合算した金八一四万一、七五四円およびこれに対する弁済期の後である昭和三九年八月二五日から支払ずみまで約定に基く日歩四銭の割合による損害金。
(二) 原告銀行は、前記3の連帯保証契約により、前記(六)(2)の弁済計画表Bの残額金一四九万八、八三九円と免除額金三六六万七、二四八円(更生担保権異議撤回分のうち八五パーセント相当)とを合算した金五一六万六、〇八七円のうち本件求償債権分と考えられる金一五二万九、〇二〇円(右合算額は前記(二)(1)の本件求償債権と前記5(二)(2)、(3)の別口債権を合計したもののうち更生手続で弁済を受けていない額であるが、前記5(二)(1)ないし(3)の総額に対する(1)の割合二九・五九七二六パーセントを乗じれば金一五二万九、〇二〇円となる)およびこれに対する弁済期の後である前同日から支払ずみまで約定に基く日歩四銭の割合による損害金。
の各支払を求める。
二 請求原因に対する認否
全部認める。
三 抗弁
1 原告公団による保証債務免除
(一) 訴外会社は昭和三七年四月、産炭地域事業団法に基き、当時不況下にあつた産炭地域の疲弊を救済するために設立されたが、同三八年九月頃には、原告等に対する他に日本開発銀行(以下、訴外銀行という)に対し借入元金五、〇〇〇万円その他小口の負債合計金五、〇〇〇万円程度があり、訴外会社取締役会では再建は困難で清算以外に方法はないと結論したところ、訴外銀行と原告公団は訴外越智敏也、同那須長次、被告ら三名の連帯保証責任は一切追求しないから(放棄又は免除)会社更生法により再建してほしい旨を申入れた。
(二) 訴外会社の取締役でもある被告ら三名は、右申入れに応じ会社更生手続開始申立をし、以後原告主張のとおり、訴外会社に対する会社更生手続が開始され、同四一年一一月一九日には会社更生計画案は認可決定され、その後計画条項は逐次履行されている。
よつて被告の原告公団に対する保証債務は免除されたものである。
2 更生計画における免除ならびに期限の猶予
(一) 免除
(1) 訴外会社の確定した更生計画によれば、原告らの更生担保権および更生債権についての更生手続開始以降の利息、損害金および請求原因4(六)(1)、(2)において原告らが自認する更生債権、更生担保権の各免除が定まつた。
(2) これによつて原告らは訴外会社に対する右(1)の各債権を放棄し、もしくは債務を免除したから、保証人である被告も、この範囲で債務を免れたものである。
(二) 期限の猶予
請求原因4(六)(1)、(2)および別紙弁済計画表A、Bのとおり、原告らの訴外会社に対する各債権について分割弁済が定められ、少くとも原告らが請求原因4(六)(1)、(2)で自認する未払分(原告公団金一二八万一、二二〇円、原告銀行金一四九万八、八三九円)の履行期は到来していないので被告もこれが支払いに応ずる義務はない。
3 消滅時効
(一) 本件保証債務の消滅時効の起算点は請求原因4(一)のとおり履行期が到来した昭和三八年一二月一〇日である。原告等の本訴提起は右の日から五年を経過した後であるから、被告は本訴において右時効を援用する。
(二) 仮に消滅時効の起算日が訴外会社の更生計画認可決定の日であるとすれば、昭和四一年一一月一九日から満五年の経過によつて消滅するので、被告は右時効を援用する。
なお、本件債権中、会社更生計画に基き免除された原告等の債権については、届出をしなかつたものと同一に帰すると解されるから、右債権については会社更生法(以下法という。)五条による時効中断の効力は認められない。
従つて更生計画で弁済を認められた債権以外の債権の消滅時効の起算日は本来訴外会社において履行をなすべき日である昭和三八年一二月一〇日に求めるのが相当である。
(三) そうでないとしても、更生担保権更生債権として届出のなかつた債権については昭和三八年一二月一〇日から法定の時効期間の経過により消滅しているので、右消滅時効を援用する。
四 抗弁に対する認否
1 抗弁第1項は否認する(原告公団)
被告を含めた連帯保証人全員に対し、連帯保証債務を免除する旨の意思表示をしたことはない。原告等が被告らと連帯保証契約をしたのは主債務者の倒産その他債務の履行の困難となつた場合に備えて、それの回収を期した担保的方法としてであり、原告公団は政府の財政投融資金をもつてした融資であり、その責任は重く、被告のいうが如く自らの債権回収を危殆ならしめる免除を軽々しくなすが如きは到底あり得ないことである。
なお訴外会社が倒産して福岡地方裁判所に対し会社更生の申立をなし、昭和四一年一一月一九日更生認可決定があり、現在該計画に基く履行が一部行われていることは認める。
2 同第2項は更生計画の内容を除き争う(原告等)
本件更生計画における債務免除、期限の猶予は私法上の債務免除と異なり、会社更生法二四二条一項に基く権利の変更であり、同条二項により、保証債務の附従性の例外をなし、保証人の保証債務には何等影響がない。(更生計画において免除もしくは放棄という言葉を使用しているけれども、債権者の意思に基くものではないから、用語として不適切であり、実質は一部切捨と言うべきであろう。)
3 同第3項(一)ないし(三)は争う(原告等)
(一) 消滅時効の起算日は会社更生計画認可決定が確定した日である昭和四一年一二月二〇日と解すべきである。
(二) 会社更生手続における債権届出は、届出全額につき時効中断の効力を有し、更生計画認可による免除額につき、債権届出の効力を失うということはない。届出た債権については前記のとおり昭和四一年一二月二〇日まで時効が中断し、かつ債権者表または更生担保権者表への記載によつて確定債権となり、時効は一〇年となつた。そして本訴提起は昭和四六年一一月二五日であるから、被告の消滅時効の抗弁は失当である。
(三) もつとも原告公団の損害金は昭和三九年八月二四日現在で届出たのみであり、原告銀行の求償債権の損害金については全く届出てないが、元本債権更生手続参加の方法として届出た場合には、右届出以後の損害金も元本債権同様に時効中断の効力を生じ以後更生計画認可決定確定の日まで時効は中断されるものと解すべきである。従つて被告の主張は失当である。
第三 証拠(省略)
(別紙)
届出債権表
Ⅰ 原告公団の届出債権明細(いずれも主位的に更生担保権、予備的に更生債権として届出)
(イ) 債権額(元金) 9,120,000円
内容・原因 昭和38年3月22日付金銭消費貸借契約証書に基づく貸付金の現存債権額912万円
(ロ) 債権額(利息) 1,927,471円
内容・原因 上記(イ)の証書に基づく貸付金1,500万円にかかる昭和39年7月15日までの利息および延滞損害金合計1,927,471円
計算明細 (利息計767,391円、損害金計1,160,080円)
(利息1)<省略>
(自38.9.1~至39.4.23)
(利息2)<省略>
(自39.4.24~至39.7.15)
(損害金1)<省略>
(自38.10.1~至38.12.10)
(損害金2)<省略>
(自38.11.1~至38.12.10)
(損害金3)<省略>
(自38.12.1~至38.12.10)
(損害金4)<省略>
(自38.12.11~至39.4.23)
(損害金5)<省略>
(自39.4.24~至39.7.15)
(ハ) 債権額(利息) 257,014円
内容・原因 劣後的債権
前記(イ)の証書に基づく貸付金1,500万円にかかる昭和39年7月16日以降同年8月24日までの利息および延滞損害金合計257,014円
計算明細 (利息計79,174円、損害金計177,840円)
(利息1)<省略>
(自39.7.16~至39.8.19)
(利息2)<省略>
(自39.8.20~至39.8.24)
(損害金1)<省略>
(自39.7.16~至39.8.19)
(損害金2)<省略>
(自39.8.20~至39.8.24)
Ⅱ 原告銀行の届出債権明細(いずれも更生担保権として届出)
(一) 本件求償債権元本 (イ)+(ロ)=2,431,497円
(イ) 債権額(求償権・元本分) 2,280,000円
内容・原因 昭和38年3月22日付金銭消費貸借契約書により産炭地域振興事業団が更生会社に対して有する債権についての保証債務履行による求償権(昭和39年4月23日および昭和39年8月20日原告銀行が原告公団に弁済した求償権の残高)
(ロ) 債権額(求償権・利息分) 151,497円
内容・原因 上記(イ)更生担保権届(求償権・元本分)による債権についての下記明細のとおりの代位弁済した利息・損害金
代位弁済利息・損害金明細 (利息95,822円、損害金55,675円)
(利息)<省略>
(自38.9.1~至39.4.23)
(損害金1)9月分<省略>
(自38.10.1~至38.12.10)
(損害金2)10月分<省略>
(自38.11.1~至38.12.10)
(損害金3)11月分<省略>
(自38.12.1~至38.12.10)
(損害金4)<省略>
(自38.12.11~至39.4.23)
(二) 別口貸金債権 元利・損害金
(イ) 債権額(元金) 4,895,404円
内容・原因 昭和38年8月21日付銀行取引約定書に基き約束手形額面金500万円也による貸付金債権のうち、同39年7月11日金104,596円也一部代位弁済による残高
(ロ) 債権額(「利息」) 888,378円
内容・原因 上記元金および別紙約束手形貸付債権(保証協会代弁分)の「期限後利息」
計算明細
(1) <省略>
(自38.10.26~至39.7.10)
(2) <省略>
(自39.7.11~至39.7.15)
(3) <省略>
(自38.10.26~至39.6.25)
<省略>
弁済計画表
A(原告公団の更生担保権の弁済計画)
<省略>
B 原告銀行の更生担保権の弁済計画
<省略>
計算書
1 元本残額(昭和39年4月23日現在) 11,400,000円
<省略>
2 発生利息 計250,916円
(一) 9月末現在<省略>
(38.9.1~38.9.30)
(二) 10月末現在<省略>
(38.10.1~38.10.31)
(三) 11月末現在<省略>
(38.11.1~38.11.30)
(四) 12月10日現在<省略>
(38.12.1~38.12.10)
3 損害金(昭和39年4月23日現在) 計781,600円
(1) 9月償還期限分<省略>
(38.10.1~38.12.10)
(2) 10月 〃 <省略>
(38.11.1~38.12.10)
(3) 11月 〃 <省略>
(38.12.1~38.12.10)
(4) 残元本分<省略>
(38.12.11~39.4.23)
4 昭和39年7月15日(更生手続開始決定前日)の残存債権額(原告公団分)
(一) 元本 11,400,000円(上記1)
(二) 発生利息 250,916円(上記2。昭和39年12月11日以降発生しない。)
(三) 損害金 1,160,080円
<省略>
(39.4.24~39.7.15)
781,600+378,480=1,160,080
5 昭和39年8月20日(代位弁済完了当日)における残存債権額(原告公団分)
(一) 元本 9,120,000円
(1) 11,400,000-2,280,000=9,120,000
(2) 11,400,000×0.2=2,280,000(原告銀行の保証債務の限度)
(二) 利息(被告に対する関係での実存額) 155,094円
(1) 250,916-95,822=155,094(残存利息債権)
(2) 250,916×0.2≒50,183(原告銀行の保証債務の限度)
(3) 95,822-50,183=45,639(第三者としての原告銀行の弁済額)
(三) 損害金 1,268,565円
<省略>
(39.7.16~39.8.20)
<省略>
6 更生債権等に対する更生計画による弁済金の充当関係(原告公団分)
(一) 弁済金・弁済日 (1) 1,165,328円(昭和42年1月18日。更生債権分)
(2) 2,018,130円(別紙弁済計画表B第1~7回分・更生担保権分)
(弁済金合計 3,183,458円)
(二) 弁済の対象となつた債権
(1) 届出確定債権
(イ) 元本(本件貸金債権のうち更生担保権分) 3,278,623円
(ロ) 元本(同上債権のうち更生債権分) 5,841,377円
(ハ) 利息・損害金(開始決定前日まで) 1,927,471円
内利息 767,391円
〃損害金 1,160,080円
(なお利息・損害金で開始決定以後のものとの理由で免除になつた本文一1(五)(1)(ニ)の債権257,014円は省略)
(2) 免除総額 6,603,520円(劣後債権は省略)
6,860,534-257,014=6,603,520
(免除後の残債権総額) 11,047,470-6,603,520=4,443,950
(3) 免除後の残存率(上記(1)の(ロ)、(ハ)の債権についてのみ)
<省略>
(4) 届出確定債権ごとの弁済対象額
(イ) 元本(更生担保権分) 3,278,623円
3,278,623×1=3,278,623(免除なし)
(ロ) 元本(更生債権分) 876,207円
5,841,377×0.1500002≒876,207
(ハ) 利息・損害金(劣後債権でないもの) 289,121円
1,927,471×0.1500002≒281,121.0
(内訳)利息債権 767,391×0.1500002≒115,109
損害金債権 1,160,080×0.1500002≒174,012
(三) 弁済充当の計算
(1) 合意充当
更生担保権元本(更生計画による元本弁済の合意による)
充当額 2,018,130円
充当後の残元本額 3,278,623-2,018,130=1,260,493(円)
(2) 法定充当
(イ) 利息(民法491条Ⅰ、Ⅱ項、490条2号。利息には約定損害金が発生するから損害金に優先して充当される)
充当額 115,109円(弁済対象額の全部)
免除分を含む残利息額(実存額) 155,094-115,109=39,985(円)
(ロ) 損害金(民法491条Ⅰ項)
弁済金の残余分 1,165,328-115,109=1,050,219
充当額 174,012円(弁済対象額の全部)
免除分を含む残損害金 1,160,080-174,012=986,068(円)
((又は1,160,080×(1-0.15)=986,068))
(ハ) 元本(更生債権)
弁済金の残余分 1,165,328-(115,109+174,012)=876,207
充当額 876,207円(弁済対象額の全部)
免除分を含む残元本額 5,841,377-876,207=4,965,170(円)
((又は5,841,377×(1-0.15)≒4,965,170))
(四) 弁済充当後の残債権額(昭和39年8月24日基準)
(1) 元本(更生担保権分) 1,260,493円
(2) 元本(更生債権分) 4,965,170円
(3) 利息(実存額) 39,985円
(4) 損害金(39.8.24発生分まで) 1,109,145円
(損害金算出の内訳)
(イ) 発生額 計 1,338,832円
遅滞初日から昭和39年7月15日まで〔上記4(三)〕 1,160,080円
その後、昭和39年8月20日まで〔上記5(三)〕 164,160円
その後、昭和39年8月24日まで 14,592円
<省略>
(ロ) 弁済額 計 229,687円
(内訳)
原告銀行代位弁済額 55,675円
更生計画による弁済充当 174,012円
(ハ) 計算
1,160,080+164,160+14,592-55,675-174,012=1,109,145
7 更生計画による弁済金の充当関係(原告銀行分)
(一) 弁済金・弁済日 (1) 647,162円(昭和42年1月18日)
(2) 2,402,030円(別紙弁済計画表B第1~7回)
(弁済金合計 3,049,192円)
(二) 弁済の対象となつた債権
(1) 届出確定債権 計 8,215,279円
(イ) 元本(本件求償債権) 2,431,497円(届出額)
(ロ) 元本(別口貸金債権) 4,895,404円
(ハ) 損害金((上記(2)に対する開始決定前日までの「期限後利息」)) 888,378円
(2) 免除総額 3,667,248円
(免除後の残債権総額) 8,215,279-3,667,248=4,548,031
(3) 免除後の残存率 0.5536064
<省略>
(4) 届出確定債権別の弁済対象額
(イ) 元本(本件求償債権) 1,346,092円
2,431,497×0.5536064≒1,346,092.3
(ロ) 元本(別口貸金債権) 2,710,127円
4,895,404×0.5536064≒2,710,126.9
(ハ) 損害金(別口貸金の損害金) 491,812円
888,378×0.5536064≒491,811.7
(三) 弁済充当の計算
(1) 損害金充当(民法491条Ⅰ項)
充当額 491,812円(弁済対象額の全部)
(免除分を含む残損害金額) 888,378-491,812=396,566(円)
(2) 別口貸金債権元本充当(民法490条2号。損害金日歩5銭で本件求償債権より高い)
(イ) 弁済金の残余 3,049,129-491,812=2,557,380
(ロ) 充当額 2,557,380円(弁済対象額の一部)
(ハ) 弁済対象額中の未弁済額 2,710,127-2,557,380=152,747(円)
(ニ) (免除分を含む残債権額)
<省略>
(3) 本件求償債権に対する充当額 なし
(ただし、別紙弁済計画表Bの第8、9回分弁済があれば、上記(三)(2)(ニ)の弁済に充当し、残余「761,870+736,969-152,747=1,346,092」すなわち1,346,092円が本件求償債権に充当される。なお、この場合の求償債権残額は、被告に対する関係では、本文一2(四)(1)ないし(4)のとおり、実存額に対して充当、算出すべきものであるから、充当後の残額は2,385,858円-1,346,092円=1,039,766円となる。)
8 本文二3(二)(1)(ロ)の請求額6,860,534円と判示額6,114,300円との差額の内訳
差額 6,860,534-6,114,300=746,234
内訳 (1) 届出利息のうち認容しない額 595,649円
<省略>
(2) 届出後に弁済された額(原告銀行の代位弁済) 151,497円
95,822+55,675=151,497
(3) 損害金の過少計算分(届出に洩れた額) -912円
(イ) 届出額 1,160,080+177,840=1,337,920
(ロ) 判示額<省略>
(ハ) 過少計算分 1,337,920-1,338,832=-912
(4) 差額 746,234円
595,649+151,497-912=746,234
9 本文二3(二)(2)(ロ)の免除分にしめる本件求償債権額の計算
(一) 届出債権額による免除額中の本件求償債権額の計算
(1) 届出債権額(本件求償債権) 2,431,497円
(2) 免除後の残存率((上記7(二)(3)参照)) 0.5536064
(3) 本件求償債権(届出額)の免除額 1,085,405円
2,431,497-2,431,497×0.5536064=2,431,497-1,346,092=1,085,405
(二) 保証債権としての本件求償債権の免除額 1,039,766円
1,085,405-45,639=1,039,766